車の身障者マークが悪用されている


車に身障者マークを掲示すると駐車場が優先的に利用できる制度があるが、これを悪用しているケースが多い。

実は、前々からどうも怪しいと思っていたことがある。身障者マークの付いたプラカード(利用証)をルームミラーに掲示した車を身障者用の駐車スペースに停めて、降りて来たドライバーがどうみても健常者だという光景をしばしば目にしていた。

逆に、降りて来たドライバーが明らかに身障者だったという光景はほとんど目にしたことがない。外見ではわからないような問題を抱えているのだろうと思ったりもしたが、あれは健常者なのにプラカードを不正に使っているのではないかと疑ったことも多々あった。

SF Chronicleがその実態を明らかにしてくれた。案の定、不正使用は極めて多いようだ。

身障者用プラカードは、本来、本人が医者の証明を添付して州の車両管理局(DMV)に申請して取得しなければならず、本人以外は使えないことになっている。

ところが実際には、プラカードを親戚から譲ってもらったり、フリーマーケットで買ったり、本人は死亡しているのにプラカードを返却しないで家族が使い続けたりして、不正使用しているケースが多いそうだ。

もっとも、本人が死亡してもプラカードを返却したり通知したりする義務も特にないので、それが不正使用を助長しているとも言える。

身障者用の駐車スペースは、通常、青い線や標識や身障者マークで表示され、お店の入り口に近い場所に位置しており、幅も広くて、便利で快適だ。

所定のプラカードがあれば、この身障者用の駐車スペースに停められるほか、パーキングメータのあるところや縁石が緑に塗られた短時間用の路上駐車スペースにも、無料で何時間でも停められるという、極めてパワフルな特権が与えられるので、不正使用の誘惑に駆られるのはわからないでもない。

当局によれば、カリフォルニア州で発行されている身障者用プラカードのうち35,000枚の持ち主は、社会保険局のデータによると死亡しているという。別に26,000枚は100歳以上の人たちだ。同州の100歳以上の人口は8,000人しかいないはずなのに。

6月にDMVの調査班がおとり捜査を実施したところ、ランダムに選んだ1,633枚のプラカードのうち、195枚が不正使用で違反となった。すなわち実際に使用されていたプラカードの8枚に1枚は不正だったという。違反者は250ドルから1,000ドルの罰金となる。

身障者用の駐車スペースが不正使用されてしまうと、本来の身障者の利用に支障を来すという問題も起こる。せっかくの身障者のための制度が台無しになる。

隙があれば悪用するという精神性の低さが残念だ。