T-Mobileの5G優位は安泰との見方


米国の5GサービスにおけるT-Mobileの優位性は安泰との見方がある。

T-Mobileのカバレッジマップ(T-Mobileのホームページより)

「T-Mobileは今のところ5Gでリードしており、競合他社との差は開く一方で、競合他社は追いつくことが困難」との見方をLightReadingが紹介している。

T-Mobileはミッドバンド(2.5GHz帯)周波数による5Gネットワークで現在2,500万人をカバーしており、当初の速度は100-300Mbpsをサポートし、今年末までに1億人をカバーするとの目標を掲げている。

このT-Mobileの今年末までのアグレッシブな拡張目標について、リサーチ会社New Street Researchのアナリストたちは、予想していたよりも「すごく高い」と述べている。

さらにLightShed Partnersのアナリストたちによれば、T-Mobileは現在、ローバンド(600MHz帯)周波数の増強も急いでおり、カバレッジ拡張や高速化を図っている。上位50都市のうちの12都市について、600MHz帯の10MHzの帯域幅をTstarからリースすべく、FCCに許可を申請中だ。加えて、Columbia CapitalとDishからも同様にリースすることになっている。

T-Mobileが5G用の周波数保有に関して「前代未聞」とも言えるリードをしようとしていることに対し、AT&TとVerizonは懸念を示しており、これ以上周波数を増やさないようFCCに監視と措置を求めている。

ローバンドについてはAT&TとVerizonも850MHz帯で「全国5G」を提供しているが、ローバンド5Gは速度的には4Gとあまり変わらないと言われている。

また両社は高速性に強いハイバンド(ミリ波帯)周波数による5Gが「真の5G」だと主張し、これについては両社はむしろT-Mobileより優位にあるが、如何せん、ハイバンドはカバレッジが狭いのがネックだ。両社のハイバンド5Gは1,000万人もカバーしておらず、500万人に届かない可能性もあるとアナリストたちは予想している。

結局、速度とカバレッジのバランスでミッドバンドによる5Gが一番有利な状況であり、その周波数の保有で大幅にリードしているT-Mobileが優位性を維持するというのがアナリストたちの見方だ。

T-Mobileと他社との差は1年半から3年位で縮まり始めるだろうが、差を縮めるだけで精一杯で、それだけでも非常に困難だろうと見られている。

さらに、T-Mobileはネットワークで優位な上に、料金も安いという利点がある。5Gサービスが使えるプランでは、T-Mobileの料金は他社よりだいたい25%程度安いと言われている。

Appleが5G対応のiPhone 12シリーズを発表したことで、端末代金を含む料金競争が始まったが、下取りありの場合の端末代金とプラン料金の合計で、T-MobileはAT&Tよりも月々10ドル安く、Verizonよりも月々20ドル安くなると、アナリストたちは見ている。

果たしてAT&TとVerizonには打開策があるのかどうか。それも見えていない状況だとしている。