iPhone 12の定価の怪


今回発表されたiPhone 12の本体価格には不可解な点がある。

iPhone 12(Appleのwebサイトより)

当初、Appleのwebサイトでは、iPhone 12の本体価格がAT&TとVerizonは「799ドルから」、T-MobileとSprintが「829ドルから」と表示され、AT&TとVerizonのところには「特別割引が利用可能(Special Offers Available)」との文言が表示され、さらにそれをクリックすると「30ドルのAT&T(またはVerizon)インスタントディスカウントが含まれている」と表示された。

つまり、iPhone 12(64GB)の定価は本来は829ドルであるが、AT&TとVerizonについては特別割引が利用可能なので、799ドルで買えるということだ。

TmoNewsが10月16日に報じたところによると、このほどT-Mobile/Sprintの顧客もAT&T/Verizonと同様、30ドル引きで買えるようになったということなので、このキャリア間の不均等の問題は解消した。

つまり、iPhone 12(64GB)の定価は本来は829ドルであるが、4社のいずれも特別割引が利用可能になったので、799ドルで買えるようになったということになる。

念のため、AppleのiPhone 12販売サイトを見てみると、4社とも「799ドルから」の価格が表示され、T-MobileとSprintのところにも「特別割引が利用可能(Special Offers Available)」と表示され、さらにそれをクリックすると、「30ドルのT-Mobile(またはSprint)インスタントディスカウントが含まれている」と表示されるようになっている。

AppleのiPhone 12販売サイトより

ここで疑問が湧く。iPhone 12(64GB)の定価は829ドルなのか。というのは、AppleはiPhone 12の発表映像の中で、iPhone 12の本体価格を「799ドルから」と発表していたからだ。そこでは「割引」などの説明はなかったので、最安モデルの定価が799ドルだと判断されてもおかしくはない。

Appleの発表映像より

これまでもAppleが発表する価格は定価だったはずだ。キャリアの割引価格はそれぞれのキャリアが発表すればいい話だ。今回、Appleはなぜキャリアの割引価格を定価であるかのように発表したのかが不可解だ。

もし、今後いずれかのキャリアがさらに割引額を大きくして販売したとしたら、Appleの価格表示もそれに合わせて変わるのだろうか。

さらに、上記のTmoNewsは、iPhone 12(64GB)の定価がT-Mobileの販売サイトでは「829.99ドル」と表示されているとも指摘している。

キャリアの設定するiPhoneの本体価格がAppleの価格よりも99セント高いという現象は前々から存在するが、今は30.99ドル高いという現象が起こっている。