カリフォルニアで外出制限が解除されたが


カリフォルニア州で新型コロナによる外出制限が解除されたが、疑問の声も上がっている。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は1月25日、州全域にわたって外出禁止令(Stay-At-Home Order)を解除すると発表した。コロナ禍から徐々に脱出できている明るい兆しが見えるとしている。

この外出禁止令は昨年12月6日から実施されていたもの。「外出禁止」と言っても、「不要不急の外出は控えるべし」という程度のもので、個人が食料や生活必需品の購入などのために外出することは禁止されていない。

深刻な影響を受けるのは主にビジネス活動だ。バー、ヘアサロン、ミュージアム、映画館、室内娯楽施設などは閉鎖を命じられた。小売店は収容率20%以内での営業が許容され、レストランは持ち帰りや出前だけが認められた。

コロナによる入院患者の増加により病院の集中治療施設(ICU)の空き病床率が15%を切ったために外出制限を発動したとしており、これが15%以上に改善すれば制限を解除することとしていた。

今回の制限解除は全面的な解除ではないが、一部でも解除されて多くのビジネスが再開できる見通しとなったことは喜ばしいことであり、明るいニュースではある。

ただ、ついこの前まではICUの空き病床率が極めて厳しい状況が続く見込みだったのに、急に改善した、もしくは改善の見込みに転じたことで、疑問や疑惑の声が上がっている。

カリフォルニア州公衆衛生局の1月22日の発表によれば、1月21日の新規感染者数は23,024人、死亡者数は764人。これは累計ではなく1日の発生件数だから深刻だ。さらにICUの空き病床率はベイエリアが6.5%、サクラメントが7.8%、ロサンゼルスのある南カリフォルニアは0%という厳しい状況だ。

カリフォルニア州公衆衛生局の発表資料より

ただ、最近急激に改善の兆しが出ていることも確かだ。New York Timesによればカリフォルニア州の新規感染者数は1月の後半から急に改善している。

カリフォルニア州の新規感染者数推移(New York Timesより)

州の高官は今回の制限解除に関して、ICUの空き病床率は今後4週間以内にベイエリアで25%、南カリフォルニアで33.3%、その他の地域も同様に改善する見込みとなったと説明している。

改善の兆しがあるとは言え、いまだ安心できない状態であり、しかもなぜ急に改善する見込みになったのかについての十分な説明がないため、「何が変わったの?」という疑問や疑いの声が上がっている。

疑いの要因の1つは、州知事に対するリコール運動がある。コロナ禍に対する州知事の対策が効果がないばかりかビジネスを破滅させているとして評判が悪く、住民によるリコール運動が起こっている。

3月15日までに150万人の署名を集めると住民投票にかけることができる。1月25日現在で120万人と、もうすぐ必要数に届きそうな勢いだ。今回の制限解除はこの批判を回避し、リコールを阻止するための策略だとの批判が出ている。

おそらくこの指摘は的外れではないだろうが、それだけでは新規感染者数等の数字が実際に好転しているというデータを説明することは難しい。

これを説明できる可能性があるのは、WHOが1月20日にPCR検査の基準を変更したことだ。その理由は、これまでの基準ではあまりにも「偽陽性」が多く出ていたため、という驚くべき内容の発表をしている。

今までの数字は何だったのか。なぜ今頃になってそれを開示して基準を見直したのか。1月20日と言えば、大統領就任式。政権移行を機に基準を変更し、感染者数が減るように操作したということではないのか。

もしそうだとすれば、今後カリフォルニア州だけでなく、全米や全世界で改善する可能性がある。これは明るいニュースと言ってよいものかどうか。

もう少し様子を見る必要がある。