Amazonの家庭用ロボットは失敗に終わるのか


Amazonが進めているロボット開発プロジェクトは失敗に終わりそうだとの見方が出ている。

かねてより噂されていたAmazonの家庭用ロボット開発プロジェクトの詳細を、Business Insider誌がリークした。コードネームは「Vesta」。現状はプロトタイプの最終段階。

音声アシスタントの「Alexa」を搭載し、カメラ、スクリーン、物品運搬用の収納スペースなどが付属している。基本的にはスマートスピーカーに車輪を付けたようなもの。

以前、ジェス・ベゾス氏がお掃除ロボットの上にAmazon Echoを載せた「発明品」をInstagramに投稿していたが、それと大きく変わらないものなりそうだ。

価格は1,000ドル以上になる見込み。限定的に招待制でベータテストを実施することを検討している。

このロボットはシリコンバレーにあるAmazonの研究施設「Lab126」で開発されており、800人が携わっている。この施設では過去にKindle、Amazon Echo、その他のコンシューマ製品の成功作とFire Phoneを世に送り出している(Fire Phoneは失敗作として特別扱いされている)。

VestaもFire Phoneと同様の失敗作になる可能性が高いと、開発に携わっているスタッフが心配しているとのことだ。

なぜ失敗に終わりそうなのかを、ジャーナリストのマイク・エルガン氏がInsider Proで説明している。

家庭用ロボットの一番の問題点は移動性(モビリティ)。家の中というのは床はウッド、カーペット、タイルなどさまざまで、その上に敷物、洗濯物、玩具、ホコリ、ペット、ペットの毛、コード・配線、こぼれた液体、家具など、実にさまざまな障害物がある。

このような悪条件下でロボットが安定して動き回るためには複雑な処理が必要で、コストもかかり、電力の消費も大きい。それに比較して得られるメリットはあまりにも小さい。

さらに自走のためにはナビゲーションシステム(おそらくlidar)が必要で、ロボットに搭載されたカメラが部屋の中のすべてのものを捉えてマッピングする。

部屋の中のすべての個人情報がスキャンされるわけだ。そんなロボットを購入するには、スキャンしたデータが悪用されないとの信頼がなければならず、その信頼に応えられるような会社でなければいけない。Amazonはそれに応えられる会社かどうか。

残念ながらAmazonは信頼されていないし、信頼してはいけないと同氏は述べている。Amazonは消費者の個人情報の取り扱いについて、不透明性が高いことで有名だからだ。

窓拭き、掃除など、特定の目的に特化したロボットなら家庭でも使えないこともないが、Vestaのような多目的ロボットは存在の意味がない。

それに引き換え、業務用となるとロボットの活躍の場は計り知れず、ロボット導入によるメリットも格段に大きい。ロボット開発は業務用に集中すべきだとしている。

そういうわけで、AmazonのVestaプロジェクトは最悪のアイデアだ、というのが同氏の主張だ。