iPhone X以外は何でもお勧め


Sprintのショップ店員が「iPhone X以外は何でもお勧め」とアドバイスしていたそうだ。

iPhone Xの供給不足は昨年のクリスマス頃から改善し始めたが、まだ品薄状態だったクリスマス前にSprintのショップを訪れたChris Matyszczyk氏によれば、ショップの店員は「iPhone X以外は何でもお勧め」とアドバイスしていたそうだ。

実は同氏はSprintにはあまり興味がなかった。スマホの売れ行きを探りたくてケータイショップを訪問するときは、Sprint以外のキャリアのショップやBest Buyなどに行くようにしていた。Sprintは第4位のキャリアで、どうせT-Mobileに吸収されてしまうのだろうと思っていた。

それが変わったのは、デイビッド・ベッカム率いるマイアミのメジャーリーグサッカーチームにSprintのクラウレCEOとソフトバンクの孫氏が出資するという新聞記事を目にしたからだ。

マイアミ地域のSprintのショップではiPhone Xや他のスマホについてどんなアドバイスをくれるのだろうと興味が湧き、ショップに行ってみた。

店内に入るとまずは女性店員が対応してくれた。今持っているiPhone 6を見せると、iPhone 7だとほとんど変わり映えしないとのアドバイスをくれた。すると突然、饒舌な男性店員に交代した。

以下、同氏の寄稿から推察される男性店員とのやりとりを再現してみた。

「機種変更かい?」

「そうだ」

「iPhone 8 Plusがいいよ」

早い。T-Mobileのショップに行ったときには長い問答の末、結局これを勧められた。こっちは明快で迅速だ。

「iPhone Xの方がいいと思ったんだけど」

「カメラが使い物にならない」

写真を撮れないということか。いや、おそらくFace IDのことを言っているのだろう。

「上司がiPhone Xを買ったんだけど、結局返品したよ。iPhone 8 Plusにはカメラが2個付いていて、Touch IDも付いている。これはFace IDじゃないから使える」

「いや、iPhone Xの方が絶対魅力的だと思うんだけど」

「それだけ払う価値があるかどうかだ。200ドルも高いんだぜ。ふざけてるよ。僕はiPhone派じゃない。技術に少しでも詳しい人ならAndroidの方がいいことを知っている」

「Androidはセキュリティが弱いと聞いたが」

「そうでもないよ。政府なら情報を取れるけどね。AppleやSamsungはマーケティングにお金をかけすぎだよ。それでバカ高い値段を付けている。実は僕は正直すぎて損をするタイプなんだ」

「それって、彼女に言われたの?」

「まあね。いいものを見せてあげる」

と言って勧めてくれたのがLG V30。そう言えば、同僚がレビューで、これはSamsungのGalaxy S8 PlusやGoogleのPixel 2 XLに匹敵するモデルだと書いていた。

Sprintの販売サイトより

「OLEDスクリーンを採用している唯一のモデルだ。SamsungはAMOLEDしかない。僕が今買うとしたらこれだな」

もうすぐ落とせると見たようで、殺し文句が出た。

「今なら特別のプロモーションがある。2台で1台分の値段。月20ドル!」

「でもなあ、iPhoneからAndroidに移行するのは大変そうだし」

「任せなさい。簡単だから。有料アプリ以外は大丈夫。なんせ通話しながらwebが使えるのがいい。これが8 Plusじゃできないんだな」

「ところで、今一番売れてるスマホは?」

「それはiPhoneだね。信者が多いからね」

率直に言って彼のiPhone Xに対する軽蔑的態度には驚いた。iPhone Xのことなんて話したくもないし、考えたくもないという感じだ。

「いつもスマホを持ち上げて顔の前に持ってこないといけない。これがチョー面倒だ」というのが彼の結論。

そうこうするうちに彼の勤務時間が終わる時刻になった。でも「まだ話し足りない」と言う。彼は名刺をくれた。一緒に店の外に出た。歩きながら話は続いた。

「予算的にはどうなの?」

「値段はあまり問題じゃない。ただ、ベストなスマホがほしい」

「スマホを何に一番よく使う?」

「通話よりデータだな」

「通話とwebが同時にできる必要はないんだね」

「あまりないね」

店外に出たのでもういいか、ということで告白してくれた。

「実は、君にはiPhone Xがぴったりだと思うんだけど、コミッションが低いんでね」

そうだったんだ。

彼は急に立ち止まり、「そうだ、 Motorolaがお勧めだ。Z2 Forceがいい」と言い出した。「『モッド』を付けるとプロジェクタになって壁に大画面で投影できる。これはすごいよ」と言う。

「次の勤務のときにまた来てよ。AT&Tの請求書を持ってきてくれれば、Sprintでどのくらい節約になるかも計算してみるよ」

と言われ、握手をして別れた。ちょっと頭が混乱してきた。

キャリアのショップというのは得てしてこんなものだ。