AT&TのTV顧客減少は「心配ない」


AT&TのTV顧客の減少について、アナリストは「心配ない」と言っているが。

AT&Tの衛星TVサービス「DirecTV」の顧客減少が続いている。2019年第1四半期は54.4万件の純減。2017年第2四半期以降ずっと減り続けている。特に最近は減り方が大きくなっている。

これに対し、JPMorganのテレコムアナリストのPhilip Cusick氏は、「心配ないさー」と強気の見方をしている。

顧客は減っても利益(EBITDA)は増えている、と同氏は指摘する。すなわち、今続々と流出している顧客はほとんどが安いプロモーション料金で利用している顧客だ。

同氏によれば、AT&Tは、2年契約をすると月50ドルまたは60ドルという安い料金を適用するプロモーションを2016年4月から2017年11月まで実施した。

その顧客がプロモーション料金の適用期間の終了とともに解約しているもので、今年の末にはそれが終わるとの見方。

AT&Tによれば、第1四半期末時点のTV顧客2,240万件のうち、プロモーションを利用している顧客は160万件。

2019年第2四半期に80万件、第3四半期に85万件が流出し、その後顧客減少は緩和し、第4四半期は70.6万件の純減に止まる、と同氏は予測している。

そして2019年全体では290万件の顧客減少となるが、これにより、顧客あたりの平均売上は3.4%上昇して、119.65ドルになるとも予想。

プロモーション顧客の流出が終わった後もコードカッティングの影響等により、2020年も100万件程度のTV顧客の流出はあるだろうが、毎年の料金値上げとブロードバンドの成長により、利益は横ばいを維持できるだろうと見ている。

2019年末に実際に顧客減少が緩和すれば市場センチメントが改善するだろうが、投資家は既にそれを織り込んだ見方をし始めているようだと同氏は述べている。

投資家にとっては何と言っても配当利回りが6.4%というのが大きな魅力だ。ライバルのVerizonは4.1%だ。

というわけで、AT&TはTV顧客の減少にも関わらず投資家にとっては魅力的な企業だというのが結論。

ただ、投資家にとっては魅力的かもしれないが、顧客にとってはどうなのか。同氏の見方でも、毎年値上げをするのが当たり前になっている。その上、もうプロモーションはしないような書きぶりだ。

せっかく買収したTime Warner(現WarnerMedia)の豊富で魅力的なコンテンツを活用した施策もなかなか出てこない。

顧客にとっても魅力的な企業にならないとダメだ。