T-Mobile/Sprint合併でDishが有利という状況


T-Mobile/Sprintの合併で意外にもDishが有利な状況となっている。

Dish Networkのホームページより

T-Mobile/Sprintの合併については、規制当局の承認が得られるかどうかが注目されている。

当局の承認を得るためには、第4のキャリアを創設するに足るだけの資産を両社が手放すことが必要と見られており、今のところSprintのプリペイド子会社のBoost Mobileと一定の周波数を第三者に売却する案が有力とされている。

その資産の売却先として、衛星TVサービス事業者のDish Networkが急浮上している。

Dishは主要事業である衛星TVサービスが衰退の一途を辿っており、他にこれをカバーする有力な事業もないので、このままでは存続が危ぶまれると見られていた。

打開策として同業のDirecTVと合併する可能性も出ていたが、Boostと周波数を買い取って第4のキャリアになって生き残りを図る可能性も出てきた。

現在、T-Mobile/Sprint、Dish、規制当局の間で協議が行われているはずだが、Dishにとっては「win-win」、すなわち、合併が承認されてもされなくても、どっちに転んでもDishが有利になるとするアナリストの見方をMarketWatchが紹介している。

T-Mobile/Sprintには何としてもBoostと周波数を売却しなければならないという切羽詰まった事情があるが、Dishには特にどうしても買わないといけないという事情はないので、相当有利な条件で資産を買い取れる可能性があるからだ。

Dishにとっては、もし好条件が出てこなければ買わなければいいだけの話だ。Dishの投資家にとっては、むしろ買わない方がリスクが少なくていいとの見方もあるようだ。

もしDishが資産を買い取らなければ、T-Mobile/Sprintの合併は実現せず、Dishもモバイル業界に進出せず、現状と何も変わらない、すなわちDishの将来が危ぶまれる状況が継続もしくは悪化するのではないかとも考えられる。

これについて、上記のアナリストは「心配ない」と述べている。Dishは5Gに使える周波数を豊富に保有しており、これをVerizonやT-Mobileが買いたがっているからだ。

ちなみに、VentureBeatによれば、Dishは5Gサービスに使用可能なローバンドとミッドバンドの周波数を約100MHz、金額にして約300億ドル相当を保有しており、これにより既存キャリアが5Gネットワークを増強したり新規事業者が5Gに参入したりすることが容易にできるとしている。

Dishは無理してT-Mobile/Sprintから資産を買い取らなくても、今持っている周波数を使って自ら5Gネットワークを構築することも不可能ではないし、現にそれもオプションの1つとして視野に入れている。

貴重な周波数を持っていたおかげで、Dishには多彩なオプションが目の前に並んでいるという状況だ。

Dishはそんな宝物を持っていたのかということを改めて気付かされた。