FacebookのCalibraが訴えられた


Facebookの子会社「Calibra」が商標権の侵害で訴えられた。

CalibraはFacebookの仮想通貨「Libra」を推進する子会社。訴えられたのは、正確にはFacebook、Calibra、JLV(Facebookの知財管理子会社)、Character(ロゴの制作会社)の4社。

訴えたのは、ニューヨークに本社のあるモバイルバンキング会社の「Current」。

訴えた理由は、CalibraのロゴがCurrentのロゴにそっくりだからだ。Currentが、「クレヨンが一本しか残っていないときはこうなる」として、ほぼ同じロゴであることをTwitterで主張・紹介している。

確かに似ている。それもそのはず。CoinDeskによれば、両方のロゴを制作したのは同じ会社だ。サンフランシスコに本社があるデザイン・ブランディング会社「Character」がその張本人ということになる。

なぜこんなことが起こってしまったのか。

FacebookやCalibraは、もしかしたらそのロゴがCurrentのロゴと似ていることを知らなかった可能性があるが、このデザイン会社は、もし本当に両方のロゴを作ったのだとしたら、似ていることを知っていたはずだ。経費節約のために故意に同じデザインを流用した可能性がある。

ただ、同じ会社内でも、もしかしたら部署が違うなどのためにロゴが似ていることを見落としてしまった可能性はある。会社としては管理不十分だが、うっかりミスしてしまうことはあるかもしれない。

うっかりミスをしてしまったときは、素直に謝って訂正すれば訴訟などという大事にはならなかったかもしれない。ところが、Facebook側は誠実に対応しなかったようだ。

訴状によれば、Currentがこのロゴを使い始めたのは2016年8月から。FacebookがCaibraの設立を発表したのは2019年6月18日。

Currentが似たようなロゴが使われているのに気づき、商標権の侵害を指摘するレターをCalibraに送ったのが7月23日。

それに対して何も返事がなかったので、Currentが8月2日に親会社のFacebookにレターを送り、再度商標権の侵害を指摘。

8月12日にCalibraから「調査中」との返事が来た。その後、両社の弁護士同士でメールや電話で解決策を話し合うも進展せず。

そしてCalibraからの連絡がなくなり、商標権の侵害状態を解消しようとする意思表示も兆候もなく、依然としてそのロゴを使い続けているという状況。

もしFacebook側がうっかりミスをしたのであれば、誠実な対応があってしかるべき。それをしないのは、故意に侵害行為を続けるつもりに違いない。

Currentにして見れば、小さい会社なので相手にされなかったという印象だろう。

CurrentのCEOがCNBCのインタビューに応えて言うことには、「Facebookは豊富な資金と資源を持っているのだから、独自のアイデアとブランディングで勝負すべき」だ。

もっとも、今のところ明らかになっているのはCurrent側の言い分だけで、Facebook側の言い分はまだ出ていないようだ。