ビッグテックの検閲に批判強まる


ソーシャルメディアや巨大テック企業による検閲の動きに対して、右派のみならず左派からも、米国内のみならず外国の要人からも批判が強まっている。

TwitterやFacebookなどがトランプ大統領やその支持者などのアカウントを停止し、代替サービスとして頼みの綱だったParlerアプリもAppleやGoogleに禁止され、そのサーバーを提供していたAmazonもブロックしてしまったことでサービス停止を余儀なくされ、トランプ陣営の情報がほとんど入手できなくなっている。

Parlerアプリより

大統領選挙の結果については議会の決定で一応の確定がなされているが、まだいろいろと疑惑や問題があり、さらに大統領弾劾の動きまで出ているという不安定な状況で、一方の陣営の言い分しか流れて来ないというのは異常なことであり、民主主義国家とは思えない事態になっている。

情報の発信に関しても異常な事態が起こっている。最近はYouTubeなどで情報を発信する人たちも言葉遣いに非常に気をつけるようになっている。今回の選挙は不正があったとか、トランプ側に味方するような発言をすると警告を受けたり投稿がブロックされたりアカウントが停止されたりするからだ。

日本語での発信も同様に検閲されている。きわどい表現には自主的に「ピー」という音を入れたり、トランプは「寅さん」、バイデンは「梅さん」などと言い換えている人もいる。それでもビッグテックからいつ警告や停止措置を受けるかとびくびくしながら発信しているようだ。

国民は自由に発言する権利だけでなく、知る権利も奪われている。こんな状況はおかしい。

「ビッグテックから憲法を守れ」との意見をThe Wall Street Journal(WSJ)が掲載した。TwitterやFacebookによる検閲は言論の自由の侵害だとの意見だ。反トランプのWSJがそんな意見を載せているということが重要だ。

私企業が大統領の言論を統制するのが許されるとすれば、次の大統領にも他の多くの人にも同じことをするかもしれない。私企業またはそれを支配する裏の組織が一国を支配できてしまうことになる。

「中東のCNN」として名高いAljazeeraも、Twitterなどがトランプ大統領のアカウントを停止したことに対する世界の要人の批判の声を紹介している。

ドイツのメルケル首相はTwitterの対応は問題だとして、「言論の自由は重要な基本的権利で、これを制限するには、ソーシャルメディアの幹部の決定によるのではなく、法律に則って法制度の枠内で行うべき」と述べている。

メキシコのロペスオブラドール大統領も、私企業が検閲の権限を持つのは「悪い兆候」としてソーシャルメディアを批判し、「TwitterやFacebookで誰かが検閲されたりメッセージを投稿する権利を剥奪されたりするのはけしからん。同意できない、容認できない」と強く非難した。

英国のジョンソン首相は、「ソーシャルメディアは自らの裁量でコンテンツを管理することはできるが、一貫性、透明性、実効性を確保した上で自らの提供条件を適用することに責任を負わなければならない」と述べた。すなわち「230条」の免責は撤廃すべきとの意見に通じる。

ロシアの野党党首のナヴァルニー氏は、「容認できない検閲行為」であり「感情や個人的な政治思想に基づくもの」で「言論弾圧の先例として他に波及する恐れがある」として激しく非難した。

他にも多くの内外の要人がソーシャルメディアを強く批判する意見を表明している。

問題はソーシャルメディアやビッグテックだけではない。偏向報道をする大手メディアも、腐敗している政治家や役人や裁判官なども、大いに問題がある。今回の大統領選挙の混乱でそれがかなり明らかになった。

この機にすべての膿が出尽くして少しはまっとうになることを期待したい。