MLBのおかしな動き


MLB(メジャーリーグベースボール)がおかしな動きを示している。

MLBはアメリカとカナダを含む北米最大のプロ野球組織。毎年7月にアメリカンリーグとナショナルリーグの人気選手による「オールスターゲーム」を開催しているが、去年はコロナ禍で中止となった。

今年は7月13日にジョージア州アトランタで開催することが決まっていた。ところが、4月2日、MLBは突然、オールスターゲームの開催地を変更すると発表した。変更先はまだ決まっていないが、とりあえずアトランタではやらないと決めた。

その理由は、ジョージア州が選挙制度に関して、投票の際には有権者IDの提示を義務付けるという法律を制定したからだという。これにより有権者IDを持たない黒人などが選挙権を行使できなくなるとの主張だ。

MLBはすべてのアメリカ人の選挙権を支持しているので、選挙権を制限するような法律に対して反対の意思を示すことが「スポーツとしてのわれわれの価値を示す最良の方法だ」とMLBのコミッショナーのロブ・マンフレッド氏が述べている。

野球やスポーツとどういう関係があるというのかがあまりよくわからない。しかも、不正投票を防止するために投票の際にIDを提示するという当たり前のようなことに対して、既に決まっていた開催地を変更してまで反対するという理由も今ひとつ明確ではない。

これに対して、「おかしい」との疑問や怒りの声が多数上がっている。たとえば共和党のマルコ・ルビオ上院議員は、同じ週にMLBが中国のTencentとストリーミング配信の契約を結んだことを取り上げて、怒りのツイートをしている。

人権を制限・弾圧していると批判されている中国共産党がバックについている企業と取引することは問題なくて、投票の際にIDの提示を求めることは人権侵害だと主張するというのはダブルスタンダードであり、偽善的な行為だとの批判だ。

それに、社会生活でIDの提示を求められるというのはごく普通に頻繁にあることであり、本人であることを証明するための適切なやり方だと受け入れられている。他州では選挙の投票の際に実施している例も多い。これが人権の制限になるというような主張は今まではあまり聞いたことがなかった。

現に、MLBも、チケットの受取時やクレジットカードの使用時などにはIDの提示を求めているとのことだから、確かにダブルスタンダードだと言われても仕方がない。

2020年の大統領選挙以来の「おかしい」事態がまだ続いている。