日本への渡航が厳格化(その5)


米国から日本への渡航が一段と厳しくなっている中、多少の違和感を感じながら日本に帰国した。

前述のように、入国後、検疫所が確保した宿泊施設「東横INN 成田空港」で3日間の待機を体験した。

食事は3食ともすべて弁当だが、毎回内容が違うので飽きずに食べられた。ちなみに1日目(到着の翌日)の朝食はパン(2種類)、焼きそば、オムレツ、ハム、ウインナー2本、ポテトサラダ、トマト、ブロッコリーと、なかなか多種で味も悪くない。

1日目の朝食

飲み物は毎回お茶とジュースの2本が付いてくる。メニューによっては味噌汁やサラダが付いたり付かなかったりする。

配膳は毎回弁当と飲み物を袋に入れて外側のドアノブにかけてくれる。配膳の際には「これから配膳を開始する」とのアナウンスがあり、配膳が完了したらまたアナウンスをするのでそれまではドアを開けないようにと念を押される。しばらくしてドアノブに袋をかけるガサガサという音がして、配膳されたことがわかる。食べたい気持ちを抑えてアナウンスを待つ。だいたい最初のアナウンスから1時間くらいで「食べて良い」とのアナウンスが入る。

3日目に検査をして陰性ならばその日の午後に出所できる。その際はまた専用バスで空港まで送ってくれる。空港行きのバスの出発時刻は16時、18時、翌朝10時の中から選ぶことができる。すなわち、希望すればもう1泊余計に泊まることもできるが、できるだけ早く帰りたいので16時を予約した。

3日目の明け方、時差ボケのため早く目が覚めた。スマホをチェックすると、現在地の確認を求める通知が来ていたのに気がついた。今すぐにアプリで現在地を報告するようにとのメッセージ。2日目の夕方6時に来ていたものだ。さらに2日目のお昼にも同じ通知が来ていた。両方ともまったく気づかずに無視してしまった。

1日目の健康状態確認メールに対する回答遅れに続き、現在地確認の報告を連続して2回も怠ってしまった。慌ててアプリで「今ここ」というボタンを押して報告した。1回目の通知から16時間、2回目の通知から10時間ほど経っていたが、果たして許してくれるだろうか。または氏名が公表されてしまうのか。

しかし、この通知は、設定によるのかもしれないが、まったく音がしないのでわかりにくい。しかもSNSやニュースアプリなどの通知もたくさん入ってくるので、それに紛れてしまうと見つけるのが難しい。頻繁に注意深くスマホをチェックしていないと、つい見逃してしまう。

先月には、入国後、現在地を報告しないなどの違反者が多数出ているとの報道がなされているのを見かけたが、この通知のわかりにくさも関係しているのではないかという気がした。

そもそも、入国から3日間は指定されたホテルで監禁状態なのだから、現在地を報告する意味がないのではないか、との疑問を感じながら、氏名が公表されないことをひたすら祈るのみ。

3日目の朝7時に、これから検査キットを配布するとのアナウンス。10分ほどしてからドアノブに袋をかけるガサガサという音。その後すぐに配布を完了したとのアナウンス。ドアを開けて検査キットを受け取り、唾液を採取。7:30頃、回収に来たスタッフに検査キットを手渡す。

その後、バスの出発時刻の16時が近づいても何も連絡がなく、少々不安になりかけていた15:30頃、客室の電話が鳴った。検査の結果は「陰性」と伝えられる。出発の支度をして1階に降りるよう指示される。

バスは予定どおり16時に出発して15分程度で空港に到着。やっと解放されたとの喜びが湧く。ただし、その後も11日間(トータルで入国後14日間)は待機期間として、公共交通機関は利用せず、自宅等で待機し、引き続きさまざまな報告をすることが求められる。まだまだ自由の身ではない。

それにしても、3日間無料で宿泊させてくれて食事まで出してくれたのはありがたいことだ。感染防止のために多くのスタッフが一生懸命働いてくれている姿を目にし、感謝の気持ちで一杯だ。そんなにしてくれなくてもいいのにと思うこともしばしば。

実際、体調は全然悪くないし、出発前と降機時の検査でも陰性だったので、この3日間の待機(隔離)と検査は必要だったのかという疑問がないでもない。万が一ということを考えてのことだろうが。日本の水際対策は緩すぎるという批判をよく耳にするが、今回体験した限りでは全然緩くない。

むしろ米国の方がゆるゆるだ。この前渡米したときは、出発前に陰性証明書が必要だったが、入国の際にはその証明書の提示を求められることもなく、検査もなければ待機もない。CDCのホームページによれば、一応入国後7-10日間自主隔離をするよう要請されているようだが、それを周知することもなく、実効性を担保する措置もない。だから米国は感染者が多いのか。

そうこうするうちに、日本政府は6月14日から米国のカリフォルニア州を含む3州からの入国者に対する3日間の待機を不要とする措置を発表した。

ほんの少しタイミングをずらせば3日間のホテル待機を避けることができた。帰国のタイミングが悪かったと悔しがる人もいるかもしれない。逆に、3日間無料で泊まれて弁当まで食べさせてもらえて、いいタイミングで帰国した、ラッキーだと考える人もいるだろう。

どう考えるかは「あなた次第」だ。