Appleの発表に違和感


環境問題への取り組みを強調したAppleの発表に違和感を覚えたことが、どうも気になっている。

Appleは9月12日、Apple WatchとiPhoneの新機種発表を目玉にしたイベントを開催した。その中で、Apple Watchに関するプレゼンの一部として環境問題への取り組みに関する寸劇風のビデオを流した。

Appleの発表映像より

女優のオクタビア・スペンサーが「母なる自然」に扮して、いや、「母なる自然」がオクタビア・スペンサーに扮してと言うべきか、Appleの社内会議に出席し、2030年までに「ネットゼロ」を達成するという目標の達成状況について各部門の担当者を厳しく追及するが、Appleはあらゆる要求に応えるべく、やるべきことをそつなくやっているというストーリー。

その「母なる自然」を会議室に迎え入れるまでの会議参加者の様子や、会議が始まってからの「母なる自然」と受け答えする会議参加者の様子が、異様に緊張していて、びくびくしている。何か少しでも落ち度があると大変なことになりそうな雰囲気だ。

会議が始まる直前、会議室にあった鉢植えの植物が枯れていたのを見つけたスタッフは、他所に隠す暇がなく、咄嗟に自分の体の後ろに隠してしまう。なぜこんな様子まで描く必要があるのか。何かを隠蔽していることを示唆しているようにも見える。

すべてそつなくやっているのなら、もっと堂々とした態度で余裕をもって対応してもいいのではないか。「母なる自然」はそんなに怖い存在なのか。それとも、実際にオクタビア・スペンサーに相当する実在の怖い人物や組織が存在して、厳しく進捗状況を管理されているのか。

TechCrunchも述べているように、一般的に環境問題への取り組みに関する企業の発表は偽善的な見せかけ的なものが多いというのは昔からの周知の事実。これを表す「Greenwashing」という用語まであるほどだ。企業が環境問題への取り組みに関する発表をすると、どうせやってるふりだろうと思われるのが常だ。

そのTechCrunchが、今回のAppleの環境問題への取り組みの発表は本気だと信じるに足る理由があるとコメントしている。Appleは環境問題に本気で取り組んでいるのか。

通常、環境問題に関する企業の発表は、本業に関する発表の後に付け足し程度になされるものであるが、今回のAppleの発表は環境問題がメインかと思われるほど、内容的にも時間的にも比重が大きくなっているように見える。

環境問題に対するAppleの本気度が高まっているとしても、なぜ今頃になって、など疑問は尽きない。