健康診断は無料のはずが


2014年1月から実施されたオバマケアのおかげで、誰でも健康保険に入れるようになり、年に1回は健康診断が無料で受けられるようになった。

選んだ保険会社はKaiser Permanente。ここは病院を自社で運営している。主治医を決めて、何でもまずその主治医に相談するHMOという方式だ。主治医は医者のリストの中から自分で選べるが、特に指定しないままにしていたら病院側で決めて知らせてくれた。顔合わせを兼ねて一度健康診断に来るようにとのメッセージが来ていた。

無料なら受けよう、ということで予約して病院に行ってみた。病院の受付でも無料であることを確認した。その場で簡単な問診を受け、別な建物で血液検査を受けた。大腸がん検査はキットをもらい帰宅してからサンプルをとって郵送する方式だった。医者からも特に別途費用がかかるようなことは言われなかった。

ところがそれから1か月位経ったころ、病院から請求書が届いた。この前の健康診断の費用として、404ドルかかったと。そのうち261ドルは保険で支払われるので、残額の143ドルを支払えという内容だ。明細を見ると、血液検査の分のようだった。これは健康診断の一部なので無料のはずだが。

さらに請求額のうち65ドルは前月請求分で未納になっているものだとの説明もあった。前月請求分というのは妻が健康診断を受けたときのものだったが、妻の分も無料のはずだし、そんな請求書を受け取ってもいない。

これはおそらく手違いだろう、アメリカではよくあることだ、カスタマーサービスに電話すればすぐに訂正してくれるはず、と早速電話してみようと思ったが、以前別件で電話して散々待たされたことがあったので、病院のWebサイトから問い合わせメールを出してみた。

すると2-3日して、その件は料金担当に電話するように、との返事がメールで来た。メールでは処理してくれないようだ。向こうで料金担当に連絡して確認の上処理してくれればいいのに。何というサービスの悪さ。

しかたなく料金担当に電話した。電話口で15分くらい待たされてようやくオペレータにつながった。15分なら短い方だ。用件を伝えると、これは無料の範囲ではないと言い出した。Preventive(予防)の範囲内なら無料だがそれ以外は有料だという。

そうは言っても、有料だとは聞いていないし、受付でも無料と言われたし、オバマ大統領も健康診断は無料だと言っていた、と言うと、保険の契約約款には有料だと書いてあると言い張って譲らない。契約約款なんか見たこともないし、もらってもいない。

とにかく正式に苦情を言いたいので、どこに言えばいいかと聞くと、カスタマーサービスに電話しろと言う。今電話しているのはカスタマーサービスではないのか。電話では待たされるので、レターを書くから誰宛に出せばいいかを教えろと言うと、とにかくまずカスタマーサービスに電話しろと言う。ただし今は受付の電話が故障中なので明日かけるようにとのこと。

翌日カスタマーサービスに電話してみた。やはり15分位でオペレータにつながった。用件を伝えると、今加入している保険は年間5,000ドルの自己負担額上限に達すれば無料になるが、それまでは自己負担分を支払わないといけない保険で、それは健康診断の費用も例外ではないと言う。

保険に加入したときにもらったパンフレットには、健康診断は無料書いてあったと言うと、契約約款には有料の部分があると書いてあると言う。それほど言うからにはきっとどこかに書いてあるのだろう。やはりこういうときは契約約款が重要なのだ。アメリカは契約社会だということを思い出した。

念のため、契約後に送られて来たパンフレットを見直してみたが、やはり健康診断(Routine physical exams)は自己負担額はゼロと書いてある。

パンフレットの説明
パンフレットの説明

ただしこれは要約なので詳細は「Evidence of Coverage」を見るようにとある。それはカスタマーサービスに電話して取り寄せないともらえないもののようだ。

取立て屋に回されるとやっかいだ。ここはひとまず払わざるを得ないのか。後で取り返す手もあるかもしれない。それにしても悔しい。詐欺に遭ったような気分。また1つ、アメリカの嫌いなところが増えた。

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