最高裁がまたしてもオバマケアを支持


最高裁がまたしてもオバマケア(医療保険制度改革法)を支持する判決を下した。

前回は、オバマケアが実施される前、そもそも健康保険の加入を国民に義務付ける権限が連邦政府にあるのかどうかが争われ、2012年6月に最高裁が「ある」との判断を下した。

憲法上はそのような権限が明示されておらず、未加入の国民から罰金を徴収する権限もないことが明らかだったにも関わらず、最高裁の好意的な解釈により合憲と判断された。

今回の判決は、法律の文言上は州政府のWebサイトで健康保険を購入した加入者だけが政府から補助金を受けられることになっているにも関わらず、実際には連邦政府のWebサイトから購入した加入者に対しても補助金を支払っているのは違法だ、との訴えに基づくもの。

連邦のWebサイトのトップページ
連邦のWebサイトのトップページ

オバマケアの成立時はすべての州が保険の購入サイトを構築することを前提にしていたが、共和党を始めとする反対勢力が強い34州は保険購入サイトを構築しなかったため、そのような州の住民は連邦政府のサイトで購入できるようにしたことから、結果的に法律の文言が実態に合わなくなっていた。

これを是正するためには法律の文言を実態に合うように(すなわち、連邦サイトで購入しても補助金が受けられるように)修正するか、すべての州が保険の購入サイトを構築するしかないが、上下両院もサイト未構築の州も共和党が多数を占めるため、今のところどちらも実現できる見込みはない。

今回の判決で最高裁は、立法の趣旨を尊重して合法との判断を下した。法律の文言上の不備を解釈で補完したものだ。オバマケアはまたしても最高裁の好意的な解釈に救われた形となった。

もし今回違法と判断されていたら、34州の640万人の加入者が補助金なしで健康保険を購入しなければならないことになっていたところだった。

補助金の金額は地域や収入によって異なるが、1加入者あたり月々数百ドルから数千ドルにもなるので、補助金があるとないとでは大違いだ。

そんなに補助金を出さないと国民皆保険が成り立たないというのも問題だ。