T-MobileがSprintの5Gを廃止


T-MobileがSprintの5Gネットワークを廃止していた。

T-MobileはSprintとの合併手続きが完了した4月以降、Sprintが持っていたミッドバンド(2.5GHz)周波数を使って自らの5Gネットワークの構築を進めている。

4月21日にフィラデルフィアで開始、5月5日にニューヨーク市に拡張、6月30日にはシカゴ、ヒューストン、ロサンゼルスでも利用可能になっていることを明らかにした。

T-Mobileにとってはハイバンド、ミッドバンド、ローバンドのすべての周波数で5Gサービスが提供できるので、他社よりも優れているとアピールすることができ、T-Mobileの顧客にとっても利便性が増すというメリットがある。

ちなみに、T-Mobileは3つの周波数を使った5Gサービスを「レイヤーケーキ」に例えて宣伝している。三段重ねのケーキらしいが、一番上はあまりにも細いのでローソクかもしれない。

T-Mobileの発表文書より

ともあれ、Sprintの顧客にとっての問題は、これに伴い、Sprintの5Gネットワークが廃止されることだ。

Sprintが合併手続き完了前に5Gサービスを提供していたのは、アトランタ、ダラス・フォートワース、ヒューストン、カンザスシティ、シカゴ、ロサンゼルス、ニューヨーク市、フェニックス、ワシントンDCの9都市。

T-Mobileのミッドバンド5Gの開始に伴い、Sprintの上記都市のうち、T-Mobileのミッドバンド5Gと重複している都市だけが廃止されたかと思われたが、FierceWirelessが確認したところによれば、Sprintの5Gサービスはすべての都市について廃止されたとのことだ。

これにより、それまで5Gが使えていたSprintの顧客は突然5Gが使えなくなったことになる。ただし、Samsungの最新スマホ「Galaxy S20 5G」を持っている顧客はT-Mobileのローバンド5Gが使えるのでまだ救いがある。

それ以前の5G対応スマホ(Galaxy S10 5G、OnePlus 7 Pro 5G、LG V50 ThinQ 5G等)を持っている顧客は、残念ながら5Gは一切使えない。Sprintの4G LTEは引き続き使える。どうしても5Gが使いたければT-Mobileの5Gに対応するスマホに買い換える必要がある。

ずいぶん乱暴な移行方法だが、それが一番効率がいいようだ。T-Mobileはその移行策の犠牲となる顧客に対して、T-Mobileの5G対応スマホに好条件で買い替えができる特別オファーを用意しているとのことだ。

なお、不幸中の幸いと言えるのかどうか微妙だが、Sprintの4G LTEはT-Mobileのローバンド5Gと比べて、速度はあまり変わらないとのことだ。